る。
 昨日|石狩岳《いしかりだけ》に雪を見た。汽車の内も中々寒い。上川《かみかわ》原野を南方へ下って行く。水田が黄ばんで居る。田や畑の其処《そこ》此処《ここ》に焼《や》け残りの黒い木の株《かぶ》が立って居るのを見ると、開《ひら》け行く北海道にまだ死に切れぬアイヌの悲哀《かなしみ》が身にしみる様だ。下富良野《しもふらの》で青い十勝岳《とかちだけ》を仰ぐ。汽車はいよ/\夕張と背合わせの山路《やまじ》に入って、空知川《そらちがわ》の上流を水に添《そ》うて溯《さかのぼ》る。砂白く、水は玉よりも緑である。此辺は秋已に深く、万樹《ばんじゅ》霜《しも》を閲《けみ》し、狐色になった樹々《きぎ》の間に、イタヤ楓《かえで》は火の如く、北海道の銀杏なる桂は黄の焔《ほのお》を上げて居る。旭川から五時間余走って、汽車は狩勝《かりかつ》駅に来た。石狩《いしかり》十勝《とかち》の境《さかい》である。余は窓から首を出して左の立札《たてふだ》を見た。
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狩勝停車場
 海抜一千七百五十六|呎《フィート》、一二
狩勝トンネル
 延長参千九|呎《フィート》六|吋《インチ》
釧路百十九|哩《まいる》八|
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