る。
「何だ、此れっ切りか。春の雪の様だね」
斯《か》く罵《ののし》りつゝ食卓《しょくたく》に就《つ》く。黒塗膳《くろぬりぜん》に白いものが三つ載《の》せてある。南天《なんてん》の紅《あか》い実《み》を眼球《めだま》にした兎《うさぎ》と、竜髭《りゅうのひげ》の碧《あお》い実《み》が眼球《めだま》の鶉《うずら》や、眉を竜髭の葉にし眼を其実にした小さな雪達磨《ゆきだるま》とが、一盤《ひとばん》の上に同居して居る。鶴子の為に妻が作ったのである。
「此《この》達磨《だるま》さん西洋人《せいようじん》よ、だって眼が碧《あお》いンですもの」と鶴子が曰《い》う。
雪で、今日は新聞が来《こ》ぬ。朝は乳屋《ちちや》、午後は七十近い郵便《ゆうびん》配達《はいたつ》の爺《じい》さんが来たばかり。明日《あす》の餅搗《もちつ》きを頼んだので、隣の主人《あるじ》が糯米《もちごめ》を取りに来た。其ついでに、蒸《ふ》かし立ての甘藷《さつまいも》を二本鶴子に呉《く》れた。
余は奥座敷で朝来《ちょうらい》の仕事をつゞける。寒いので、しば/\火鉢《ひばち》の炭《すみ》をつぐ。障子がやゝ翳《かげ》って、丁度《ちょうど》
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