はたち》前後の女が居た。男はせっせと手で土を掘《ほ》って居た。女は世にも蒼ざめた顔をして居た。自然薯《じねんじょ》でも掘るのですかい、と通りかゝりの婆さんがきいたら、何とも返事しなかった。程経てまた通ると、先の男女はまだ其処《そこ》に居た。其前|八幡山《はちまんやま》の畑の辺をまご/\して居たそうである。多分|闇《やみ》から闇にと堕《お》りた胎児《たいじ》を埋めたのであろう。鴫田の婆さんは、自家《うち》の山に其様《そん》な事でもしられちゃ大変だ、と云うて畑の草の中なぞ杖《つえ》のさきでせゝって居たそうだ。
 其若い男女が、ひょっとしたらまた其処《そこ》へ来て居るかも知れぬ。あるいは無分別をせぬとも限らぬ。
 箸《はし》を措《お》くと、外套《がいとう》引かけて出た。体《からだ》も魂《たましい》も倔強《くっきょう》な民が、私お供《とも》致しましょう、と提灯《ちょうちん》ともして先きに立つ。
 八幡下の田圃を突切《つっき》って、雑木林の西側を這《は》う径《こみち》に入った。立どまって良《やや》久《ひさ》しく耳を澄《す》ました。人らしいものゝ気《け》もない。
「何処《どこ》に居るかね、不了簡《
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