けに、夫婦して莚《むしろ》を畑にひろげ、枝豆や苺《いちご》や果樹に群がるカナブンを其上に振《ふる》い落して、石油の空鑵《あきかん》にぶちあけ、五時から八時過ぎまでかゝって、カナブンの約五升を擒《とりこ》にし、熱湯を浴《あび》せて殺した。でもまだ十分の一もとれない。
あまり美事《みごと》の出来だからと云うて、廻沢《めぐりさわ》から大きな水瓜《すいか》唯一個かついで売りに来た。緑地に黒縞《くろしま》のある洋種の丸水瓜《まるすいか》である。重量三貫五百目、三十五銭は高くない。井戸に冷《ひ》やして、午後切って食う。味も好かった。
一月おくれの盆で、墓地が賑《にぎ》やかである。細君が鶴子の為に母屋《おもや》の小さな床に茄子馬《なすうま》をかざり、黒い喪章《もしょう》をつけたおもちゃの国旗をかざり、ほおずきやら烏瓜《からすうり》やら小さな栗やら色々|供物《くもつ》をならべて、于蘭盆《うらぼん》の遊びをさせた。
風鈴《ふうりん》の短冊《たんざく》が先日の風に飛ばされたので、先帝の「星のとぶ影のみ見えて夏の夜も更け行く空はさびしかりけり」の歌を書いて下げた。西行《さいぎょう》でも詠《よ》みそうな
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