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     食われるもの

 奥の座敷で日課を書いて居ると、縁に蹲《うずくま》って居た猫のトラがひらりと地に飛び下りた。またひらり縁に飛び上ったのを見ると、蜥蜴《とかげ》を啣《くわ》えて居る。窃《そ》と下ろした。蜥蜴は死んだのか、気絶したのか、少しも動かぬ。トラはわんぐりと喰《く》いはじめた。まだ生きて居ると見えて、蜥蜴の尾《お》が右左に揺《うご》いた。トラは遽《あわ》てず、眼を閉《と》じ、頭を傾《かし》げて、悠々《ゆうゆう》と味わい/\食って居る。小さな豹《ひょう》か虎かを見て居る様で、凄《すご》い。蜥蜴の体は最早トラの胃の中にあるに、切れて落ちた鋼鉄色《こうてついろ》の尾の一片は、小さな一疋の虫かなんぞの様にぐるっと巻《ま》いたりほどけたりして居る。トラめは其れも鵜呑《うのみ》にして了うた。蜥蜴のカタミは何も無い。日は相変らず昭々《しょうしょう》と照らして居る。地球は平気で駛《はし》って居る。木の葉一つソヨがぬ。トラは蜥蜴を食ってしまって、世にも無邪気《むじゃき》な顔をして、眼を閉じて眠って了うた。
 昨日は庭で青白い螟蛉《あおむし》を褐色《かちいろ》のフウ虫二疋で螫《
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