だみごえ》あげて蛙《かわず》が「生《う》めよ殖《ふ》えん」とわめく。雀や燕《つばめ》は出産《しゅっさん》を気がまえて、新巣《しんす》の経営《けいえい》に忙《せわ》しく、昨日も今日も書院《しょいん》の戸袋《とぶくろ》に巣《す》をつくるとて、チュッ/\チュッ/\喧《やかま》しく囀《さえず》りながら、さま/″\の芥《あくた》をくわえ込む。蠅《はえ》がうるさい。蚊《か》がうるさい。薔薇《ばら》にも豌豆《えんどう》にも数限りもなく虫が涌く。地は限りなく草を生《は》やす。四囲《あたり》の自然に攻め立てられて、万物《ばんぶつ》の霊殿《れいどの》も小さくなって了《しま》いそうだ。
 隣の金《かね》さんが苗をくれた南瓜《とうなす》の成長を見に来たついでに、斯様《こん》な話をした。金さんの家に、もと非常によく実《な》る葡萄《ぶどう》があった。一年《あるとし》家の新ちゃんが葡萄をちぎると棚《たな》から落ち、大分の怪我をした。それからと云うものは、家の者一同深く其葡萄の木を憎んだ。すると、葡萄は何時となく枯れて了うた。憎むと枯れる。面白い話。新約聖書に、耶蘇《やそ》が実《みの》らぬ無花果《いちじく》を通りかゝ
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