此頃の馳走《ちそう》は豌豆《えんどう》めしだ。だが、豌豆にたかる黒虫、青虫の数は、実に際限がない。今日も夫婦で二時間ばかり虫征伐《むしせいばつ》をやった。虫と食を争《あらそ》い、蠅《はえ》と住居《すまい》を争い、人の子もこゝさん/″\の体《てい》たらくだ。
 午後|筍買《たけのこか》いに隣村まで出かける。筍も末だ。其筈である、新竹《しんちく》伸《の》びて親竹《おやだけ》より早一丈も高くなって居る。往復に田圃《たんぼ》を通った。萌黄《もえぎ》に萌《も》え出した苗代《なわしろ》が、最早《もう》悉皆《すっかり》緑《みどり》になった。南風《みなみ》がソヨ/\吹く。苗代の水に映《うつ》る青空《あおぞら》に漣《さざなみ》が立ち、二寸ばかりの緑秧《なえ》が一本一本|涼《すず》しく靡《なび》いて居る。
 両三日来夜になると雷様《かみなりさま》が太鼓《たいこ》をたゝき、夕雲《ゆうぐも》の間から稲妻《いなずま》がパッと射《さ》したりして居たが、五時過ぎ到頭|大雷雨《だいらいう》になり、一時間ばかりして霽《は》れた。
 袷《あわせ》では少し冷《ひや》つくので、羅紗《らしゃ》の道行《みちゆき》を引かけて
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