ゞめて横になり、神妙《しんみょう》に頭をのべて鞭《むち》を受けた。其為め余が鞭の手は自然に鈍《にぶ》るのであった。彼は長い間浮浪犬として飢《ひも》じい目をした故《せい》であろ、食物を見ると意地汚《いじきた》なく涎《よだれ》を流した。文豪《ぶんごう》ジョンソン[#「ジョンソン」に傍線]が若い時非常の貧苦を経た結果、位置が出来ても、物を食えば額《ひたい》に太《ふと》い筋《すじ》現《あら》われ、汗《あせ》を流し、犬の如くむしゃ/\喰うた、と云う逸話を思い浮《うか》べて、甚|可哀想《かあいそう》になった。其れから彼は餅《もち》でもやると容易《ようい》に食わず、熟《じっ》と主人の顔を見て、其れ切りですか、まだありますかと云う貌《かお》をした。三つも投げて、両手を開《ひら》いて見せると、彼は納得《なっとく》して、三個ながら口に啣《くわ》えて、芝生に行ってゆる/\食うのが癖であった。彼は浮浪の癖が中々|脱《ぬ》けなかった。先《せん》の白も彼に色々の厄介をかけたが、デカも近所の鶏《とり》を捕ったりして一再《いっさい》ならず迷惑《めいわく》をかけた。去年の秋の頃は、あまりに家をあけるので、煩悩《ぼんのう
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