おんな》が云う。
いさちゃんは此辺でのハイカラ娘である。東京のさる身分ある人の女で、里子に来て、貰《もら》われて橋本の女になった。橋本の嗣子《あととり》が亡くなったので、実弟の谷さんを順養子《じゅんようし》にして、いさちゃんを妻《めあ》わしたのである。余等が千歳村に越《こ》して程なく、時々遊びに来る村の娘の中に、垢《あか》ぬけした娘が居た。それがいさちゃんであった。彼女は高等小学を卒《お》え、裁縫《さいほう》の稽古《けいこ》に通った。正月なんか、庇髪《ひさし》に結《ゆ》ってリボンをかけて着物を更《か》えた所は、争われぬ都の娘であったが、それでも平生《ふだん》は平気に村の娘同様の仕事をして、路の悪い時は肥車《こやしぐるま》の後押《あとお》しもし、目籠《めかご》背負《せお》って茄子《なす》隠元《いんげん》の収穫《しゅうかく》にも往った。実家の母やマアガレットに結って居る姉妹等が遊びに来ても、いさちゃんはさして恥じらう風情《ふぜい》も無かった。
田舎は淋《さび》しい。人が殖《ふ》え家が殖えるのは、田舎の歓喜《よろこび》である。人が喰合《くいあ》う都会では、人口の増加は苦痛《くつう》の問題
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