ずるまでゝある。
*
淋《さび》しい元日であった。
あまり淋しいので、夜《よる》隣家《となり》の人々を案内にやったら、皆|浪花節《なにわぶし》に出かけて留守だった。
[#地から3字上げ](明治四十四年)
[#改ページ]
芝生の上
正月に入って、連日《れんじつ》美晴《びせい》。
庭を歩くと、吹くともない風が冷やり/\顔を撫《な》でる。日はほか/\と暖かい。杉《すぎ》は鳶色《とびいろ》になり、松は微黄《びこう》を帯《お》び、裸《はだか》になった楓《かえで》の枝《えだ》には、四十雀《しじゅうから》が五六|羽《ぱ》、白頬《しろほ》の黒頭《くろあたま》を傾《かし》げて見たり、ヒョイ/\と枝から枝に飛んだりして居る。地蔵様《じぞうさま》の影が薄《うっ》すら地に落ちて居る。
デカとピンとチョンが、白茶《しらちゃ》のフラシ天《てん》の敷物《しきもの》を敷きつめた様な枯れて乾《かわ》いた芝生《しばふ》に悠々《ゆうゆう》と寝《ね》そべり、満身に日を浴《あ》びながら、遊んで居る。過去は知らず、将来は知らず、現在の彼等は幸福《こうふく》である。幸福な彼等を眺《
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