こざと」に代えて「冫」、上巻−310−15]別川《りくんべつがわ》に臨んだちょっとした要害《ようがい》の地、川の方は断崖《だんがい》になり、後《うしろ》はザッとしたものながら、塹濠《ざんごう》をめぐらしてある。此処から見ると※[#「陸」の「こざと」に代えて「冫」、上巻−310−17]別は一目だ。関翁は此坂の上に小祠《しょうし》を建《た》てゝ斃死《へいし》した牛馬の霊《れい》を祭《まつ》るつもりで居る。
夕方三人で又一君宅の風呂《ふろ》をもらいに行く。実は過日来|往返《おうへん》の毎《たび》に斗満橋《とまむばし》の上から見て羨《うらや》ましく思って居たのだ。風呂は直ぐ川端《かわばた》で、露天《ろてん》に据《す》えてある。水に強いと云う桂《かつら》の径《わたり》二尺余の刳《く》りぬき、鉄板《てっぱん》を底《そこ》に鋪《し》き、其上に踏板《ふみいた》を渡したもので、こんな簡易《かんい》な贅沢《ぜいたく》な風呂には、北海道でなければ滅多《めった》に入られぬ。秋の日落ち谷|蒼々《そうそう》と暮るゝ夕《ゆうべ》、玉の様な川水を沸《わか》した湯に頸《くび》まで浸《ひた》って、直ぐ傍《そば》を流るる
前へ
次へ
全684ページ中410ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
徳冨 蘆花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング