れ》自身《じしん》針葉樹林の小模型《しょうもけい》とも見らるゝ、緑《りょく》、褐《かつ》、紫《し》、黄《おう》、さま/″\の蘚苔《こけ》をふわりと纏《まと》うて居るのもある。其間をトマムの剰水《あまり》が盆景《ぼんけい》の千松島《ちまつしま》と云った様な緑苔《こけ》の塊《かたまり》を※[#「さんずい+回」、第3水準1−86−65]《めぐ》って、流るゝとはなく唯|硝子《がらす》を張った様に光って居る。やがて麓《ふもと》に来た。見上ぐれば、蝦夷松椴松|峯《みね》へ峰《みね》へと弥《いや》が上に立ち重なって、日の目も漏《も》れぬ。此辺はもう関《せき》牧場《ぼくじょう》の西端になっていて、林《りん》は直ちに針葉樹の大官林につゞいて居るそうだ。此永劫の薄明《うすあかり》の一端に佇《たたず》んで、果なくつゞく此深林の奥の奥を想う。林学士は斯く云うた、北見、釧路、十勝に跨《またが》る針葉樹の処女林《しょじょりん》には、アイヌを連れた技師技手すら、踏み迷うて途方《とほう》に暮るゝことがある、其様《そん》な時には峰を攀《よ》じ、峰に秀《ひい》ずる蝦夷松椴松の百尺もある梢に猿《ましら》の如く攀じ上《のぼ》
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