ん》の調査をやって居るのである。別天地の小生涯《しょうせいがい》、川辺《かわべ》に風呂《ふろ》、炊事場《すいじば》を設け、林の蔭に便所をしつらい、麻縄《あさなわ》を張って洗濯物を乾《ほ》し、少しの空地《あきち》には青菜《あおな》まで出来て居る。
茶の後、直ぐ川を渡って針葉樹林の生態《せいたい》を見に行く。濶《はば》五|間《けん》程の急流に、楢《なら》の大木が倒れて自然に橋をなして居る。幹を踏み、梢《こずえ》を踏み、終に枝を踏む軽業《かるわざ》、幸に関翁も妻も事なく渡った。水際《みぎわ》の雑木林に入ると、「あゝ誰れか盗伐《とうばつ》をやったな」と林学士が云う。胡桃《くるみ》が伐《き》ってある。木の名など頻に聞きつゝ、針葉樹林に入る。此林特有の冷気がすうと身を包《つつ》む。蝦夷松《えぞまつ》や椴松《とどまつ》、昔此辺の帝王《ていおう》であったろうと思わるゝ大木|倒《たお》れて朽ち、朽ちた其木の屍《かばね》から実生《みしょう》の若木《わかぎ》が矗々《すくすく》と伸びて、若木其ものが径《けい》一尺に余《あま》るのがある。サルオガセがぶら下ったり、山葡萄《やまぶどう》が絡《から》んだり、其《そ
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