姉上様
         *
目出度きクリスマスを遙かに御祝い申上ます。
此のエハガキにある可愛い子供は誰で御座いましょうか。鶴《つる》ちゃんでは御座いませんでしょうか。あまりよく似て居りますもの。とにかく此の児はクリスマスを是非千歳村のなずかしい御家で迎えたいと申します。大急ぎで今出立いたさせますから、よろしく御願い申します。
     一千九百○九年|基督降誕《クリスマス》になりて[#地から5字上げ]ブルックリンにて
[#地から3字上げ]馨子
   御姉上様に
[#ここで字下げ終わり]

       七

 明治四十三年二月三日、粕谷草堂の一家が午餐《ごさん》の卓について居ると、一通の電報が来た。お馨《けい》さんの兄者人《あにじゃひと》からである。眼を通した主人は思わず吁《ああ》と叫んだ。
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馨急病にて死せりと
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 妻は声を立てゝ哭《な》いた。
 主人《あるじ》は直ちに葛城の母と長兄を訪《たず》ねた。彼は面目ない心地がした。若し死が人生の最大不幸なら、お馨さんの渡米を沮《はば》んだ彼人々は先見の明があったのである。彼は其足で更にお
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