持て来た。硝子は電気を絶縁する、雷よけのまじないにかぶれと謂うのだ。諾《よし》と受取って、いきなり頭にかぶった。黒眼鏡をかけた毛だらけの裸男《はだかおとこ》が、硝子鉢《がらすばち》を冠って、直立不動の姿勢をとったところは、新式の河童《かっぱ》だ。不図思いついて、彼は頭上の硝子盂を上向けにし、両手で支《ささ》えて立った。一つ二つと三十ばかり数《かぞ》うると、取り下ろして、ぐっと一気に飲み乾《ほ》した。やわらかな天水である。二たび三たび興に乗じて此大|觴《さかずき》を重ねた。
「もう上《あが》っていらっしゃいよ」
妻児が呼ぶ頃は、夕立の中軍《ちゅうぐん》まさに殺到《さっとう》して、四囲《あたり》は真白い闇《やみ》になった。電がピカリとする。雷《らい》が頭上で鳴る。ざあざあっと落ち来る太い雨に身の内|撲《う》たれぬ処もなく、ぐっと息が詰まる。驟雨浴《しゅううよく》もこれまでと、彼は滝《たき》の如く迸《ほとばし》る樋口《といぐち》の水に足を洗わして、身震いして縁に飛び上った。
上ると土砂降《どしゃぶ》りになった。庭の平たい甕《かめ》の水を雨が乱れ撲って、無数の魚児の※[#「口+僉」、第4水
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