へ女中に住み込ませて、自分も始終そこへ入り浸っているのであった。話の様子では職人風の絵師によくあるような、あまり上品な人間でもなかった。技術も捗々《はかばか》しく上達しないで死んでしまったが女のことにかけては腕があったらしく、一方その女が喰いついていて離れようとしないのに自分ではひどくお園に惚れていた。
女主人は今思い出しても、三野村がいとしくもありおかしくもあるというように笑いながら、
「あんなに惚れはって。……なあ、私、三野村さんがお園さんに惚れはったようにあんなにほれた人見たことおへんわ」そういってまた若奴と私に話しかけながら、「三野村さん、あんたお園さんのどこがようてそんなにほれたんどすいうて訊くと、三野村さんもお園さんの、ほんならどこが好《え》えというところもないけれど、ただこうどことなくおとなしいようなところがええいうのどす」
「じゃ、男の好きなのは誰の思うところも同じこった」
と、私は、その三野村が女を観《み》る眼にかけては自分と正《まさ》しく一致していたことを思うにつけても、なるほどと肯《うなず》けるのであった。女主人のいうとおり彼は深い心の底からお園に惚れていたのに
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