がら、
「こんな別嬪《べっぴん》になるんだと知っていたら、あんな薄情な女に生命《いのち》を打ち込んで惚《ほ》れるんじゃなかった」
と、わざといって笑っていった。
 すると女主人は、自然にそっちへ話を向けてきて、
「お園さんにお会いやしたか」といって訊いた。
「ええ此間《こないだ》初めて一遍会いました」
「病気はどうどす。わたしも一遍見舞いにいこういこう思うて、ねっからよういきまへん」
「病気はもう大したこともなさそうです。一体不断から病人らしい静かにしている女ですから」
 すると若奴も傍から、
「ほんまにそうどす。お園さんはおとなしい人どしたなあ。姐さんあんな静かな人おへんなあ」
 私はだんだん話をそっちへ進めて、
「病気で気が変になったというのは、あれは真実《ほんとう》なのですか」といって女主人に訊ねた。
「そりゃ本間《ほんま》どす」と女主人は真面目《まじめ》な顔になって、「初めは私たちも熱に浮かされてそんなことをいうのか思うていましたが、そのころ病気の方はもうとうに良うなって、熱もないようになっているのに異《ちご》うたことをいい出したので、さあ、これは大変なことになった思うて心配し
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