とが出來た。そして眼を覺して舷窓から水の上を覗くと、いつの間にか伊崎の不動は後の方に退いて船は沖の島の東端を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]はつて早や奧の島との湖峽にさしかゝらうとしてゐる處である。此の邊を見ずしては大變だと、慌てゝ甲板に立ち出ると、左舷には文人畫に見るやうな奧の島の明媚な山水が眼の前に展開してゐるところである。それとともに右舷の方を顧望すると、比良岳は縹渺たる水の果てに一昨日見た時よりも今日は一層壯美な姿をして聳えて見える。
底本:「現代日本紀行文学全集 西日本編」ほるぷ出版
1976(昭和51)年8月1日初版発行
底本の親本:「旅こそよけれ」冨山房
1939(昭和14)年7月発行
※巻末に1919(大正8)年7月記と記載有り。
入力:林 幸雄
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年9月9日作成
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