んだ眼で今迎へたばかりの客を見た。
 それは直造が案内状を出す間際になつて心づき、入念に考へたあげくに呼ぶことにした高間房一だつた。
 読経《どきやう》はまだ始まらなかつた。
 三間つゞきの奥座敷では蝋燭だの燈芯の明りで照し出された仏壇を前に、来客達が思ひ思ひの所にかたまつて坐つてゐた。
「さうですよ、あんた。銅の値が上つたさうですね、昨日も九州の方から礦山師が赤山を見に来たんです。あの山ぢあね、随分家屋敷をなくした者があるんですがね」
 恐らくその一かたまりでは赤山廃坑の話がさつきから賑かだつたのだらう。さう勢ひこむやうな調子で喋つてゐたのは富田といふ仲買だつた。
「あの山に田地を注ぎこんで裸になつたのは三人、わしも知つとる」
 傍にゐた赭《あか》ら顔の老人が低い声で云つた。
「三人どころぢやない、五人も十人もある」
 富田はすぐ又自分の方に話をひきとつた。
「それあ、もう、掘つても掘つても屑みたいなものしか出ないつて云ふんだがね。まあ、天領の時分に良いところはそつくり掘り上げてしまつたんだらうね。その山をまだ見所があるつて云ふんだから、あてになるやうなならんやうな話だあね」
「君は
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