――君は危険に遭遇している。
 V――助力を求む。近くにいてくれ。
 R――貴船の位置は本船の航路外にあり。静かに通り過ぎよ。
 L――停船! 重要あり。通信したし。
 F――自航力なし。通信を求む。
 DS――危険! 注意せよ。
 BFY――不可能。
 HOK――しかし。
 MRZ――いつ君はのし[#「のし」に傍点]上げたのか。
 MST――遠方。
 AG――船を捨てるほか途《みち》なし。
 AN――前進し得る状態にありや。
 BJ――機関不能。
 BK――何事が起ったのか。
 DF――幾らかの応援あらば復旧することを得べし。
 ETC・ETC・ETC。
 諳記しては、片っぱしから綺麗に忘れる。
 ある日の船内無線新聞。
 伯林《ベルリン》。昨月曜日夜、ポッツァレル・プラッツに三百人を一団とせる共産党員の暴動起り、警察を襲う。大部隊警官の出動を見て、間もなく平穏に帰す。
 フリイドリヒスハアフェン。天候可良ならば、ツェッペリン伯号は五月二日に維納《ウイン》を訪問すべし。
 テュニス。伊太利《イタリー》新聞組合の戸外にて機関銃爆発。原因損害等一切不明。
 スエズから古倫母《コロンボ》に
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