tあたりのウィンタア・スポウツになると、かなり複雑なゲエムに進化しているが、そのなかでも、最も勇敢で、したがって一ばん危険の多いのが、俗に「骸骨《スケルトン》」と呼ばれるトボガン橇《そり》である。これは鋼鉄のスケルトンの上に板を渡して、走者はそのうえに、頭を下にして腹這《はらんば》いになる。うしろに出ている靴の爪先きにスパイクがついていて、それで舵《かじ》を取るのだ。時として肘や膝にもプロテクタアを当てがい、人によっては顔に厚い保護面《マスク》を被《かぶ》ることもある。滑路の両側には高い雪の塀を造って、橇が横へ外《そ》れないようにしてあるが、往々にしてそれを越えてすっ[#「すっ」に傍点]飛ぶことが珍らしくない。聖《サン》モリッツのとぼがん[#「とぼがん」に傍点]の記録は、ついに一時間七十|哩《マイル》を突発している。例のモリッツ名物CRESTA・RUNというのがこれである。
言うまでもなくモリッツのウィンタア・スポウツは、じつに大仕掛けなものだ。たとえば、スキイ・ジャンピングの競技場などでも、他のレゾルトでは、スキイ穿《ば》きで見物に来た人が、ずらりと雪の上に立って取り巻いているくら
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