ュエイションを手がけて、色んな相手との交通を踏んだためだ。したがってこの恋は勇壮に疾走する。そして、よりいいことには、相互の理解のうえで、色んな恋愛技術のSTUNTが行われるだろう。クリステだの・ステムだの・V字形だの。
毀《こわ》れない外皮《クラスト》――雪・雨それから寒風とこう続くと、サン・モリッツをはじめ瑞西《スイツル》じゅうのスポウツマンは上ったりだ。地雪のおもてが氷のように硬張《こわば》って、しかも、いつそれが「|醜い姉妹《アグリイ・シスタア》」と呼ばれる次ぎの種類に急変しないとも限らない。で、最も嫌がられる一つである――結婚しなければならなくなって結婚した結婚だ。大戦の直ぐあとの混沌とした時代に発生した、こういう結婚の多くを、私たちは今日の欧羅巴《ヨーロッパ》文学の作品と実際生活のうえに見る。「あらゆる事情」が「たった一個の指輪」に罩《こ》もっていて、そしてそれが、毀れそうでなかなかこわれない。それだけ厄介なのだ。
こわれる外皮《クラス卜》――スキイヤアスの悪夢である。すこしも続けて滑ることが出来ない上に、この種の雪は、廻転《タアニング》を絶対に不可能にする。間誤々々《
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