き留めます。それからは、毎日女の家を見張っていて、女が外出する度《た》びに、尾行を続けるのです。そして、いつからとなく、そのうちに交際が始まって、やがて、目的を達するかも知れない日を、男は、根気よく待つのです。この習慣は、何もスカラ・サンタの寺院にだけ限られているわけではありません。これは、一つの例で、伊太利《イタリー》では、どこでもやっていることです。結婚も、野合も、この経路から生れるものが、かなりに多いようです。私は、この「服装」でスカラ・サンタへお詣《まい》りしたわけではありませんが、私の尾行者は、どこかで私を見初《みそ》めて、それから、この尾行を始めたものに相違ありません。彼は、私を恋していると言うのです。恋だそうです! 何という馬鹿な男でしょう! あなたは、そうはお考えになりませんか。』
 シシリイ島、ソレント、カプリ島、フロウレンス、ミランと、私は、この「長靴」に、予定以上の日数を持ってしまった。
 そして、ヴェニスで、私は、春の跫音《あしおと》を歓迎した。
 ヴェニスの春は、第一に、温みかけたグラン・キャナルの水が、親切に知らせてくれた。
 私は、長靴の伊太利から、明るい
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