ぐに、彼女の「読心術《テレパセイ》」の能力で片付けるに相違ないことを、私は承知し過ぎていたから。
私達は、会場を一巡して、戸外へ出た。
その間、彼女の眼は、陳列してある各会社の、一九二九年の新春型を、機械的に送迎していただけだった。が、彼女の口は、絶えず言語の洪水を漲《みなぎ》らして、私を溺死させようとした。私は、一体自分は、何のために騎士的感激をもってここへ駈けつけて来たのだろうと、そのことばかり考えていた。
彼女は、サンパウロ発行の反ファシスト新聞「防禦《ラ・ジフェサ》」について、多くを語った。そして、その主筆である、元の社会党代議士フランチェスコ・フロラに関して、より多くの呼吸を費やした。殊に、一亡命者としてのフロラが、上陸禁止令を無視して、警戒線を突破した当時のことや、その後の彼を覆った官憲の圧迫には、彼女は、特別に、詳細な知識を所有している様子だった。しかし、私は、彼女の身辺に、今までなかった弱々しいものを感じて、それを、汽車の疲れであろうと判断した。そして、宿所へ帰って休むことを、彼女に奨《すす》めてみた。
すると、彼女は、この私の説を逆証すべく、俄かに努力した。自
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