会話を愛する人々のために出来るだけ交響団から離れた、光りと影の多い「一部落」だった。そこでは酒杯《グラス》と煙草と煙草の灰と、写真現像液で手の赤い独逸《ドイツ》人、フロウレンスの歯科医、ウィインの毛皮商、グラスゴウのニュウス・ビイ紙特派員、フランシス・スワン夫人、ヴィクトル・アリ氏、それから私と私の妻とが、みんな一時にしゃべり出そうとしてはぶつかり合って、急にみんな控えて黙って、すると暫らく誰も何も言わないものだから今度はみんなで大笑いをしていた。そんなことばかり繰り返していた。それぞれ国際的に面白い顔をしているというような理由から、一しょにキャジノを出ると直ぐいつからともなくこれだけの人が集まったのだった。私たちはソルボンヌ附近の下宿の大学生のように快活と卓子《テーブル》と経済を持ち寄って誰の壜からでも飲んでいいことに決議した。が、給仕人の注意を捉えて、何か証文するのは多くウィインの毛皮商だった。彼は今夜好運の女神が自分のうえに微笑《ほほえ》んだから、その祭典を挙げるのだと説明した。しかし、そうでなくても彼はしじゅう祭典をあげているらしかった。彼の鼻は隣りの食卓の酒まで嗅《か》ぎ分け
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