フ運命の分岐だ。だからこの「赤か・黒か」に賭けることも出来るし、そのほか偶数奇数、それから三十六のうち十八までを落第《マンケ》、十八以上を及第《パス》としてこれらにも張り得る。そして、例《たと》え当っても、冒した危険の率によって一倍から三十五倍まで返ってくる金の割合が違う。赤のところへ百|法《フラン》――十円――置いて赤が出たとしたところで、勝金はその一倍、すなわち百|法《フラン》の儲けにしかならないが、仮りに十一へ真正面《アン・プラン》に百|法《フラン》抛り出して十一へ玉が落ちたとすれば百法の三十五倍と元金の百法と、つまり総計三千六百法――三百六十円――というものが転がり込む。賭けたのが百円なら三千六百円だ。しかし、こうなると私も、四角《キャレ》だの|馬乗り《ア・シュヴァル》だの横断線《トランスヴァサル》だの柱《コラウム》だの打《ダズン》だのと色んな専門的な細部や、他の二種の chemin de fer と trente et quarante のゲイムにまで言及したい衝動を感ずるのだが、いまここで私はその煩瑣《はんさ》な事業に着手してはならない。要するにただ、白い「丸薬《ピル》」一
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