煤@はルウレットの部屋だ。Salle Louzet は「三十《トランテ》&四十《キャラント》」だ。そして 〔La Salle Me'decin〕 は「|鉄の路《シュマン・ドュ・フェル》」の賭博室である。そのいずれにも礼装の人々が充満して、このモンテ・カアロの博奕場《キャジノ》を経営している「海水浴協会《ソシエテ・デ・バン・ドュ・メル》」――何と遠くから持って来た名であろう! が、それも、多くの「魚《フィッシュ》」を游《およ》がせるという意味でなら実に妥当だと言える――の常雇いの|世話係り《ブリガアド・デ・ジュウ》や、自殺と不正を警戒している探偵や、初心者にゲイムを教える手引役《インストラクタア》や、卓子《テーブル》へ人を集める|客引き《ラバテュウル》――この成語はナポレオン当時募兵員が巴里《パリー》の街上に立って通行人に出征を勧誘した故事から来ている――やがて、開会の鈴《ベル》を聞いた代議士のように、急にめいめい自分たちの重大さを意識して人を分けていた。
それは大停車場のような堅実な広さだった。どこにでも明光が部屋の形なりに凝り固まっていた。自殺を担ぎ込む「墓のサロン」の扉《ドア》が口
前へ
次へ
全66ページ中42ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
谷 譲次 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング