Aもっと惨めで、何度押しかけてっても手ぎわよく無視されていつも徒労に帰した。これは僕とリンピイにとって全く新しい奇現象《センセイション》である。その原因は果して那辺《なへん》に存するか? 一つこいつを見きわめないでは! と言うんで、僕はすこし意地にかかって毎夜根気よく出かけてったものだが、at last, 僕とリンピイのまえに投げ出された一大MYSTERY――公式上、物語の結末《エンデング》は速力だけを尊重する。だから急ぐ。
最後に僕が、何とかしてこのがるしあ・もれの号を征服すべき努力と決意のもとに――もう一つ暗転。
SHIP・AHOY!
|血だらけな晩め《デ・ブラッデイ・ノウイト》! God damn it !
じゃこっぷ[#「じゃこっぷ」に傍点]の中途から救われてガルシア・モレノに甲板した僕と鞄が、LO! こうまた国際的|涜神《とくしん》語を吐き出していた。
仮死した大煙突が夜露の汗をかいて、船料理人《シップス・ダクタア》の手のポケット猿、こつこつこつ[#「こつこつこつ」に傍点]と鉄板を踏んでる無電技師――やっぱりみんな、上陸番なんか無視して|山の手《バイロ・アルト》の灯
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