オた「大戦未亡人」のひとりにして、戦後のゆるんだ気もちのなかで、男たちの同情と誘惑の手が一時にわたしに集まりはしなかったか? もちろん当時わたしは、この地球上にあなたのような親切な方が自分のために存在しようとはDREAMにも知らなかった。And the result ? Here I am. Just look at me now ! なんかと言ったような、大同小異千遍一律の身の上ばなしも出来るわけで、事実、毎夜々々の寝台で、そも何人のぷうた[#「ぷうた」に傍点]が、そも何人の異国の水夫に、めいめいこの「あわただしい戦時の巴里」を背景に最後は必ず「親切なあなた[#「あなた」に傍点]にもっと早く会わなかった」ことを残念がる打明け話をうちあけたろう! この浪漫さ! ここは何とあっても仏蘭西《フランス》女でなければ出ない色あいだし、おまけに、ふらんすの女とさえ言えば、妙に扱いの上手な経験家のように一般に信じられているので、そこで、みんな争って勝手に仏蘭西の国籍を主張するんだけれど、おかげで、婦人用手袋と香水と葡萄酒と売春婦だけを一手専売に輸出してるように思われてる肝心のふらんすこそ、好い面
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