驍ルど、欧羅巴《ヨーロッパ》中の都会、ことに港町における売春婦の跳梁《ちょうりょう》はおびただしいものだ。が、これも古今東西を通じて、人間の集まってるところには厳然たる一つの必要らしいからまず仕方があるまいとして、個人的動機から落ちるところへ落ちてく女はそれでいいだろうが、そもそも白奴交易なるものは、PIMPの元締《もとじめ》が映画的に活躍して、夜のピキャデリなんかを迂路《うろ》ついてるぽっと[#「ぽっと」に傍点]出の女や、ボア・ドュ・ブウロウニュを散策中の若奥さまや、学校帰りにそこらを歩いてる女学生などを甘言をもって誘拐し、気のついた頃は、すでに輸出向き商品として南あめりかあたりへ運送の途にあったりするんだから、これはどうも社会的におだやかでない。だいぶ赤本めいた話だけれど、知ってる人は知ってる事実である。だからこの白奴交易網に引っかかった女の多くは、新大陸の植民地でその売春婦としての教育を卒業する。それがまた市場《マアケット》へ出て欧羅巴《ヨーロッパ》へ逆輸入される頃には、いかに彼女らが海一〇〇〇山一〇〇〇の物凄い莫連《ばくれん》になってるかは想像に難くあるまい。僕はこの間《カン》
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