Q照」だが、早く言えば、毎晩僕が夜の埠頭《ふとう》へ出かけて古いINKの海を眺めてるあいだに、いつからともなくこのリンピイと知り合いになったというだけなのだ。
ほるつがる――種が島と煙草と社交病を日本へ紹介した国。
日本――葡萄牙《ポルトガル》。
東の果てと西のはずれ。
地理的には遠く、歴史的には近い。
両国共通の言語でちょっとこんな判じ物みたいな小景《スナップ》が出来るくらいだ。
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彼は Raxa《ラシャ》 の「まんと」の「ぼたん」をかけていた。彼女は「石鹸《さぼん》」で洗ったばかりの「かなきん」の襦袢《じゅばん》「〔Jiba~o〕」に、「びろうど」Veludo の着物をきていた。「びょうぶ」の前に、ふたりは「さらさ」Caraca の座ぶとんを敷いて、Carta「歌留多《かるた》」をしながら飲んだり食べたりしていた。が、彼はあんまり「ふらすこ」のお酒を「こっぷ」で呑んだし、彼女が Pao「ぱん」と「こんぺいとう」を Tanto「たんと」食べ過ぎるので、お互いに嫌《いや》になって離婚した。[#地から3字上げ]FINIS
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といっ
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