スめ彼は場所に困って寺院を借りようとしたところが、僧侶が彼を異端者あつかいして、貸す貸さないで一悶着《ひともんちゃく》あったというのでも知れよう。代表作。パトロクラスを争う。天国に対する地獄の叛逆。悪魔の鏡。死刑囚の幻想。地獄におけるナポレオン。秘密。薔薇。その他。隅の犬小屋と犬の絵も有名だ。つい先ごろまで幕のむこうに隠しておいてわずかに小穴から覗かせたという作も、いまは全部公開している。飢餓・発狂・犯罪と題する、狂女が赤んぼの足を切って鍋へ入れているところ、など・など・などがそれだ。「期待」は、裸女が寝室のとばりをあけて人を待っている図、「好奇心」では、これもやはり裸体の女が浴室らしい部屋の戸を細目にひらいている。孤児、生葬、カシモド、焼けどした子供――等すべて世紀末的なグロテスクネスの極致だと言える。ヴェルツはよく狂人だったと誤りつたえられているが、それほどの血みどろさ、ゆがんだ見方、変態さだ。しかし、成功か不成功か、とにかく彼は絵筆にものを言わせようとしている。ひとつの理想主義、革命的社会思想、階級意識、戦争と力への反撥――そういったものを取材《テイマ》とする絵が芸術であっていい
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