ゥどうかは第二の問題として――かれの絵は最も端的にそれを摘出し、議論し、口角泡をとばして、画室へ這入るとけんけんがくがく[#「けんけんがくがく」に傍点]の声が四方の壁に沸き立っているような気がする。使命をもつ絵――ひっきょうヴェルツは十九世紀の漫画《カリケチュア》だった。が、この狂天才もたしかに人類生活の一|飛石《ひせき》たるを失わない。いかにそれが気味のわるい飛石にしろ!――こういうとヴェルツは、その「自画像」に記して時人《じじん》に示した著名な文句を、そのまま繰り返すに相違ない。
「一たい絵画において批評ということは可能かね?」
 In matter of painting, is criticism possible ?
 白耳義《ベルギー》博物館――化石、前世界のとかげ[#「とかげ」に傍点]の大群。一訪にあたいす。
 大広場《グラン・プラアス》――夜あけから八時まで、朝露と大きな日傘と花のマアケットだ。ようろっぱで最も美しい中世紀|広場《スクエア》のひとつ。大きな犬が馬のかわりに牛乳や野菜の車をひいて、でこぼこ[#「でこぼこ」に傍点]の石だたみのまわりを豊かな装飾の建物がとりま
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