烽ネい。たしかに坊やのおもちゃのオフネだ。それにしても、何てまあ横に広い坊やのオフネだろう!
ドウヴァはいそがしい。灰色の軍艦もむこうに海の陽炎《かげろう》に包まれている。
あ! なかま[#「なかま」に傍点]だ! 三台の飛行機! 二つは上に、ひとつは下に。AH! 殷賑《いんしん》をきわめる空の交通整理よ! 行ってしまった。
BUMP! 空の波だ。
一同はっ[#「はっ」に傍点]として「うう!」と唸る。
BUMP!
UUGH!
BUMP!
UUGH!
しばらくがぶり[#「がぶり」に傍点]がつづく。ボウイが紙に書いて苦悶中の女客へ見せてまわる。
Bumps will soon be less.
同じ悪魔でも、やはり女のほうはすこしデリケイトに出来てるらしい。いぎりすの奥さんなんか、けっして下を見ないように真正面に眼を据えたきりだ。お婆さんは相変らず新聞を読み、商人はしきりに書類をしらべ、私は首をのばしてふらんすの海岸線を待っている。
すると、出てきた。
くっきりとした地と水のさかい。屈折する陸の進出と、海の侵蝕。仏蘭西《フランス》の浜は赤土の露出だ。それに白い浪がよ
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