先生が雑談的に話したことがある。ポグラニチナヤに劉東夏という、若いがロシア語の上手な人がいる。露領の奥へ出かけるようなことがあったら、その人を通訳に頼みたまえ――僕はそれを思い出して、ぜひ劉君に会って頼むつもりでいたんだ。このポグラニチナヤに途中下車したのも、劉君に同行してもらうためだったのさ。
禹徳淳 (劉東夏へ)ハルビンの用は大したことじゃあないんだ。では、これからすぐ薬を買いにハルビンへ行くと言って、ぜひお父さんの許可を得るんだな。僕と安君は一足先に停車場へ行って待っている。
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劉東夏は家に入る。
安重根と禹徳淳は急ぎ下手へ歩き出す。
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禹徳淳 あいつのロシア語は手に入ったものだ。それにかなり党の仕事にも熱心だし、情報を集めたりなんか、連絡係りには持って来いだが、君はどの程度まで打ち明けるつもりでいるんだい。
安重根 何と言ってもまだ少年《こども》だからねえ。そのうちにうすうす感づくのは仕方がないが、何も知らせないほうがいいだろう。汽車の切符を買ったり、道を訊いたりするのに使うんだね。
禹徳淳 (
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