かり夜の景色。下手から話し声がして、劉東夏を仲に安重根と禹徳淳が出て来る。
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劉東夏 (自宅を指して)ここです。ちょっと待っていて下さい。
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家へはいろうとする。
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禹徳淳 (追い止めて)君、大丈夫か。一人でお父さんをうんと言わせられる自信があるのか。
安重根 独立党の仕事で、僕らと一緒に行くなどと言ってはいけないぜ。
劉東夏 (英雄に対するごとく、安重根へ)そんなこと言やしません。私はしじゅう父の命令《いいつけ》でハルビンへ薬を買いに行くんです。今度もその用で、二三日中に行くことになっているんですから、急に思い立って今夜これから発つと言っても、父は何とも言いはしません。
禹徳淳 (安重根へ)だが、今日この劉東夏君に会ってよかったな。僕も君も、露語と来るとまるきり駄目だからなあ。そこへ、ロシア人よりも露語の達者な劉君が一緒に行ってくれると言うんだから、まったく心強いよ。
安重根 いや、おれは劉君のことは以前から聞いていた。いつかウラジオの李剛
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