勝って得をし、弱いやつは負けて損をする。しかし、その強い者もいつまでも強いというわけではなし、弱いものもやがては強くなる時があろう。上が下になり、下が上になるのだ。こうして世の中は、大きく浪を打って進んで行くので、百万陀羅議論を唱えても、どうなるというものではない。待つのだ。強い者が弱くなり、弱い者が強くなる時を待つのだ。ははははは、じっと待つのだよ。待ちさえすれば、その時機は必ず来る――。
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反対隣りの乾物屋に灯が点く。手風琴と唄声は消えようとして続いている。間。
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老婆 そんなものでしょうねえ、ほんとに。(下手を見て)おや、誰か来ましたよ。うちの人たちかもしれない。どれ、ランプに灯を入れておこう。
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と古着屋に入る。
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劉任瞻 東は東、西は西。若い者は若い者、年寄りは年寄りだ。
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劉任瞻は穀物の笊を片附け、椅子を引きずって家へはいる。すぐその店と古着屋から灯りがさす。街路に光りが倒れて、もうすっ
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