く、おいおい高く、後半は各人憤激の大声で統一を欠く)
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何を不足に我慾を満たさんとて
鼠の子のごとくにここかしこを駈け歩き
誰をまた欺き何れの地を奪わんとするや
されど至仁至愛のわが上主は
大韓民族二千万口を
ひとしく愛憐せられなば
かの老賊に逢わしめ給え
逢いたりな逢いたりな
ついに伊藤に逢いたりな
汝の手段の奸猾は
世界に有名なるものを
わが同胞五六の後は
われらの江山は奪われて
行楽ともになし得ざりしを
甲午年の独立と
乙巳年の新条約後
ようよう自得下行の時に
今日あるを知らざりしか
犯すものは罪せられ
徳を磨けば徳到る
汝かくなるものと思いしや
ああ我等の同胞よ
一心団結したる上
外仇を皆滅して
わが国権を恢復し
富国強民図りなば
世界のうちに誰ありて
われらの自由を圧迫し
下等の冷遇なすべきや
いでいざ早く合心し
彼らの輩も伊藤の如く
ただ速かに誅せんのみ
立て勇敢の力持て
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左側の台所へ通ずる扉に青年Gが凭《よ》りかかって、先ほどからドアの向うへ注意を凝らしている。
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