青年G (手を上げて一同を制する)しっ! 静かにしろ。話し声が聞える――。
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ぴたりと音読が止む。
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黄成鎬 (呆けながら不安げに)誰もいねえはずだが――。
青年G (ドアの隙間に耳を当てて)安さんだ。たしかに安さんの声だ。(台所を指さして、一同へ)おい、安重根が来ているぞ!
青年J なに? 安さんが来てる! 台所へか。こっそり裏からはいったんだろう。引っ張り出して演説させろ!
青年L 怪しからん。おれたちがこんなに待っているのに、裏から忍び込んで知らん顔しているなんて――。
青年M 馬鹿! そこが安さんの好いところじゃないか。
禹徳淳 (冷然と読みつづけて)
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国民たる義務を尽さずして
無為平安に坐せんには
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青年たちは一斉に起ち上って「われらの安重根! 安重根ウラア!」と口ぐちに歓呼している。
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黄成鎬 (知らぬふりで台所のドアへ歩き出す)安さんが裏から来た? どれ見て来ましょう。
白基竜 (卓
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