》の二人こそ天晴《あつぱれ》未來事《みらいこと》ある時の大將軍と覺ゆれども、これとても螺鈿《らでん》の細太刀《ほそだち》に風雅《ふうが》を誇る六波羅上下の武士を如何にするを得べき。中には越中次郎兵衞盛次《ゑつちゆうのじらうびやうゑもりつぐ》、上總五郎兵衞忠光、惡七兵衞景清《あくしちびやうゑかげきよ》なんど、名だたる剛者《がうのもの》なきにあらねど、言はば之れ匹夫《ひつぷ》の勇《ゆう》にして、大勢《たいせい》に於て元《もと》より益《えき》する所なし。思へば風前《ふうぜん》の燈《ともしび》に似たる平家の運命かな。一門|上下《しやうか》花《はな》に醉《ゑ》ひ、月に興《きやう》じ、明日《あす》にも覺《さ》めなんず榮華の夢に、萬代《よろづよ》かけて行末祝ふ、武運の程ぞ淺ましや。
入道ならぬ元の瀧口は平家の武士。忍辱《にんにく》の衣も主家興亡の夢に襲《おそ》はれては、今にも掃魔《さうま》の堅甲《けんかふ》となりかねまじき風情《ふぜい》なり。
第二十五
其年も事なく暮れて、明《あ》くれば治承四年、淨海《じようかい》が暴虐《ばうぎやく》は猶ほ已《や》まず、殿《でん》とは名のみ、蜘手《くも
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