人生終に奈何
高山樗牛
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)已《や》まんか
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)人生|終《つひ》に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#二の字点、1−2−22]
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人生|終《つひ》に奈何、是れ實に一大疑問にあらずや。生きて回天の雄圖を成し、死して千歳の功名を垂る、人生之を以て盡きたりとすべきか、予甚だ之に惑ふ。生前一杯の酒を樂しむ、何ぞ須ひん身後千載の名、人は只※[#二の字点、1−2−22]行樂して已《や》まんか、予甚だ之に惑ふ。蝸牛角上に何事をか爭ふ、石火光中に此身を寄す、人は只※[#二の字点、1−2−22]無常を悟りて終らんか、予甚だ之に惑ふ。吁、人生終に奈何。將《は》た人は只※[#二の字点、1−2−22]死するが爲に生れたるか。
嘗て一古寺に遊ぶ、檐《のき》朽ち柱傾き、破壁摧欄、僅に雨露を凌ぐ。環堵廓然として空宇|人《ひと》を絶ち、茫々たる萋草《さいさう》晝尚ほ暗く、古墳累々として其間に
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