幕末維新懐古談
馬専門の彫刻家のこと
高村光雲
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)公《おおやけ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)山田|鬼斎《きさい》先生
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ふき[#「ふき」に傍点]
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そこで、彫刻製作となるのですが、岡倉校長は、主任は高村光雲に命ずるということであり、それから山田|鬼斎《きさい》先生を担任とすることになった。すると、ここで一つ主任としての私に問題が起って来たのであります。
それは、何かと申すと、楠公は馬上であるが、馬の産地も分らぬということ……出来上がる大きさはというと、馬上で一丈三尺、馬の鼻から尾の先までが一丈八尺というこの大きな馬をまず自分が手掛けてやるとしてどうであるか、これはなかなか容易なことではないと申さねばならぬ……そこで当然思い出すのは後藤貞行氏のことです(後藤氏のことは前に狆の話のところでちょっと話して置きました)。後藤氏は、馬の後藤という位馬専門の人である。それ故、いよいよ手を附けるとなれば、是非とも後藤氏に相談してその助力を借り
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