幕末維新懐古談
学校へ奉職した前後のはなし
高村光雲
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)奉職《はい》った
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)随分|迂闊《うかつ》な
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これから話の順序が学校へ奉職《はい》った時分のことにちょうどなって参ります。今日はそのはなしを致しましょう。……ところが随分|迂闊《うかつ》なことでありますが、私は自分の拝命する学校を知らなかったというようなわけであった。
明治二十二年の二月十一日は憲法発布式の当日でありましたので、東京市中は一般のお祝いで大した賑わいでありました。市中はいろいろな催しもの、行列などがあり、諸学校でも教員が生徒を伴《つ》れて宮城外の指定の場所へ参列でもするのか、畏《かしこ》きあたりのお通りを拝するのであるか、とにかく大した賑わいであるという評判。私はそういうものを見物に出掛けもしなかったが、家内には子供を伴れさせて見物に出しましたが(光太郎がちょうど六、七歳の時と思います。母につれられて行きました)。広小路でいろいろな催し物行列などを見てから間もなく帰って参った家内のはなしに、「上野
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