竹内さんともいろいろ相談をして、どういう風にしたらということを研究中でありますが、まず何より、差し当ってあなたに学校へ来て頂いて、仕事をしておもらいすれば、それこそ、それが生きた教科書であるから、これに越した授業の方法はほかにあるまいと、実は竹内氏もあなたを推薦されているわけなので、私たちは、あなたにこがれているので、どうか学校のために一つ御尽力を願いたい」
こういう訳で、一々抜き差しの出来ないように岡倉氏は説かれるので、私にも能《よ》く了解が出来、なかなか断わるにも断わることが出来なくなりました。実際岡倉氏のいう如き方法ならば、私の立場として見て、そう仕事の上に差し閊《つか》えることもないように思われ、怪しむところもなくなって来ました。
そこで、岡倉氏は明日からでも学校へ出てもらいたいと、短兵急《たんぺいきゅう》なことで、私もとにかく、お受けを致したわけであった。
それから、酒が出たりしました。岡倉氏は酒は強い方。私もその頃は多少いける方であった。酒間にいろいろ寛《くだ》けて話し合いました。岡倉氏は、話が纏《まと》まって悦《よろこ》ばしい。浜尾校長もさぞよろこぶことであろうと
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