分らない。変なものが出来ましたが、張り子|紙《がみ》で上から張って見ますと、案外、ありありと大仏さまの姿が現われて来ました。
「おやおや何を拵えているのかと思っていたら大仏様が出来ましたね」
と家の者はいっております。
「大仏に見えるかね」
「大仏様に見えますとも」
といっております。大仏が印を結んで安坐している八角の台の内部が、普通の見世物小屋位あるわけになります。出来上がったので、それを例の三人の友達に見せました。
「旨く行った。これならまず大丈夫勝利だが、今度はこれを拵えるに全部で何程《いくら》金が掛かるかこれが問題です。そこで、この事は仕事師に相談するのが早手廻しでこの四本の柱をたよりにして、仕事をするものは仕事師の巧者なものよりほかにない。早速当って見よう」
ということになりました。で、御徒町にいた仕事師へ相談をすると、これは私どもの手で組み立てが出来ないこともないが、こういう仕事は普通の建物とは違い、カヤ[#「カヤ」に傍点]方《かた》の仕事師というものがある。それはお城の足場をかけるとか、お祭りの花車小屋《だしごや》、または興業物の小屋掛けを専門にしている仕事師の仕事で、一
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