幕末維新懐古談
発会当時およびその後のことなど
高村光雲
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)硝子箱《ガラスばこ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)行きさつ[#「行きさつ」に傍点]
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当日は会の発表祝賀会を兼ねて製作展覧を催したのでありました。
展覧の方は今日のように硝子箱《ガラスばこ》に製品を陳列するなどの準備などは無論なく、無雑作なやり方ではあったが、牙彫《げちょう》の製品はかなり出品があって賑やかであった。木彫の方は私は都合が悪くて出品しませんでしたが、林美雲が一点だけ牙彫の中に混って出品しました。
発会式は非常な景気で諸万からお遣い物などが来て盛大を極め、会合するもの三百人以上で予期以上の成功であった。
それに井生村楼の女将《おかみ》が同会に大変肩を入れ、楼の全部の席を同会のために提供してくれ、しかも席料なども安くしてくれ、非常に同情的に暗《あん》に後援してくれたのでいろいろ都合がよく、会員一同も女将の好意を感謝したことであった。
会は充分の成功をもって終りました。
本会の成立について、特に尽力をされた
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