幕末維新懐古談
彫工会の成り立ちについて
高村光雲

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)種々《いろいろ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)全部|牙彫《げちょう》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)いさかい[#「いさかい」に傍点]
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 この頃になって一時に種々《いろいろ》の事が一緒に起って来るので、どの話をしてよろしいか自分ながら選択に苦しみますが、先に日本美術協会の話をしたから、引き続き、ついでに東京彫工会のことについて話します。

 東京彫工会というものの出来たのは、妙なことが動機となって出来たのであります(ちょっと断わって置きますが、その当時の彫刻家は全部|牙彫《げちょう》という有様であった)。その彫刻界に一つの刺撃が与えられそれが導火線となってこの会が起ったのであります。一方に既に美術協会が成立し、それがますます盛大になっているのであるから、この際別に彫工会というような会の起る必要を感じない訳であるが、それが出来なければならない機運となって来ました。この彫工会発会のことについては私は木彫家のことで関
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