出すかも知れん。今会を起せば三百人や二百五十人位の会員はたちまち集まる。会を起そう」
という相談が纏まりました。
これは行き掛かりの上の勢いから自然こういう風になったのであります。そこでいよいよ一つの会を起すとなると、相当学識のある人もなくてはならない。また会の事務に当る事務的才能のある人、また会則を作るということに精通した人をも要することになって来ましたが、その向きの人々には誂《あつら》えたような先生たちが美術協会の会員の方にある。幸い、美術協会の関係で予《かね》て協会員として懇意の人々のこと故、塩田真氏、前田健次郎氏、平山英造氏、大森惟中氏などを頼んで相談相手となってもらいました。
この人々は官民間で夙《つと》に美術界のことに尽力していた人で、当時の物識《ものし》りであり、先覚者でもあったのであります。
ここで私もこの人たちの集まりの中に顔を出すことになるのですが、しかし、私は牙彫の方ではありませんから、直接この事件の起った当時からこの行きさつの中へ無論這入っておらぬのでありますがどういう相談があったものか、この方から私へ使いを遣《よこ》して私にも相談相手になってもらいたい
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