幕末維新懐古談
引き続き作に苦心したこと
高村光雲

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)洋燈《ラムプ》台

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三枚|襲《がさ》ね
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 されば追っかけて、また一つ外国人からの注文がありました。
 今度は、ドイツ公使館へ来た或る外国人からの注文で、同じく洋燈《ラムプ》台であったが、趣は以前と違っておった。これは前述のアーレンス商会からの注文の製作をその人が見て注文することになったか、そこまではよく分りませんが、アーレンスとは何んの関係はないのであった。
 注文の大体は、今度は純日本式の童男童女の並んで立っている処をたのむというのであった。まず一尺位の雛形《ひながた》をこしらえてもらって、それを本国に持ち行き、先方にて話の上にて、さらに大作の方をもたのむ計劃であるが、差し当ってはその雛形を念入りに彫ってもらいたい。これは雛形と思わずに、本物同様充分気を附けてやって欲しいというのであった。

 今度もまた私がすべて製作することに師匠からの話がありましたので、私はそれに取り掛かりました。今度は以前のように下絵などの
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