幕末維新懐古談
「木寄せ」その他のはなし
高村光雲

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)木寄《きよ》せ

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)仏師|塗師《ぬし》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)曲※[#「碌のつくり」、第3水準1−84−27]《きょくろく》
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 木寄《きよ》せのことを、ざっと話して置きましょう。
 仏師に附属した種々《いろいろ》の職業が分業的になってある中に、木寄師《きよせし》もその一つであります。これは材料を彫刻家へ渡す前に、その寸法を彫刻家の注文通り断ち切る役なのです。
 正式の寸法の割合として、たとえば坐像二尺の日蓮《にちれん》上人、一丈の仁王《におう》と木寄せをして仏師へ渡します。結局《つまり》、仏師が彫るまでの献立《こんだて》をする役です。これは附属職業の中でも重要なもので、それに狂いがあっては大変です。建築でいえば立前《たてまえ》だから立前が狂っていては家は建たぬわけ、木寄師がまずかった日には仏師は手が附
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